熱電対について
1.熱電対の原理
熱電対は2種類の金属、合金、または半導体を組み合わせ、温度勾配による両者の起電力の差を利用して温度(温度差)を測定するセンサーです。熱電対で温度測定を行う場合、温度T1の測定対象に2本の素線A、Bの接合部を熱的に接触させ、他端は温度T0の規準接点でリード線Cにつなぎ計測器(電圧計)で起電力を測定します。
熱電対の配線
ここで起電力Eは
で表されます。ここでSA(T)、SB(T)はそれぞれ素線A、Bのゼーベック係数といい、温度差1℃当たりの素線の熱起電力を示します。上の積分はA側の基準接点から出発し、素線Aにそって測定対象までSA(T)のTに関する積分をし、次に測定対象から素線BにそってSB(T)の積分を基準接点までとることを意味します。被積分関数[SA(T)−SB(T)]は温度差1℃あたりの熱電対の起電力、すなわち感度を表します。
2.熱電対の種類
JISで規定された熱電対は以下の7種類です。
記号 | +脚 | −脚 | 測定温度 |
|||
0.25級 | 0.4級 | 0.75級 | 1.5級 | |||
R B S K E J T |
Pt−13%Rh Pt−30%Rh Pt−10%Rh クロメル クロメル 鉄 銅 |
Pt Pt−6%Rh Pt アルメル コンスタンタン コンスタンタン コンスタンタン |
0〜1600℃ − 0〜1600℃ − − − − |
− 200〜1700℃ − 0〜1000℃ 0〜800℃ 0〜750℃ 0〜350℃ |
− − − 0〜1200℃ 0〜800℃ 0〜750℃ 0〜350℃ |
− − − ‐200〜0℃ ‐200〜0℃ − ‐200〜0℃ |
各種熱電対のうち白金−ロジウム系(R, B, S)は酸化還元の雰囲気の影響を受けにくく、使用温度範囲が広いものです。またゼーベック係数の温度依存性が少ないので温度誤差が少ないという特徴があります。このような理由から焼き物で使用するのはR型、またはS型が多いようです。お手持ちの熱電対の規格を見てみましょう。但し、1981年以前に作られた白金−ロジウム系熱電対は旧規格でPR型(現在の規格のR型に相当)1種類でした。
私が学生時代、物質の融点測定で使ってたものはT型でした。1本200円とか300円とかそれくらいだったと思います。陶芸で使う熱電対が10万以上もすると知った時は目が飛び出ました・・・(笑)。
参考文献:新熱分析の基礎と応用−超伝導からバイオまで−(日本熱測定学会編)