窯焚き記録B

2001.04.27〜29 

 今回の窯焚きは5月に桐生市内で行われるグループ展に出す作品を焼成しました。前回、窯の雰囲気が酸化に偏りすぎたため、煙突の半分を塞いでの還元焼成です。今回も雑録形式での窯焚き報告です。

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今回焼成した作品たち

半分塞いだ煙突からはもうもうと黒煙が…。

1.窯主の「本業」
 窯主の山川さんは本業をもっています。そう、実はアマなのです(笑)。薪の窯・工房を自ら建て、プロの作家の窯を築窯し、全陶展で3度入賞を果たしても、本人は「本職は鰻屋」というスタンスを貫いています。窯を焚くときも常に仕事優先、高温での引出しなど重要工程は担当しますが、あとはお客さんが引けた空き時間に様子を見に来るくらいです。
 しかし窯焚きに至る工程(薪割り、窯のメンテナンス、窯詰め)は忙しい中本当に念入りに準備してくれます。窯焚きの一番美味しいところは他人に任せて、本人は目立たない、しかし重要な役割りに徹してくれているのです。

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うな清のサービスメニュー、「うな丼」550円。これにお吸い物と
お新香がつきます。炭火焼のうなぎが香ばしい(クリックすると大きくなります)。

2.瀬戸黒
 里山窯の最近のテーマの一つが「瀬戸黒」。別名引出黒といわれる技法です。鉄分を含んだ釉を百草土など焼締まりの弱い土に掛けて1000℃付近で熔かし、それを引き出して急冷すると四三酸化鉄(黒色)から酸化第二鉄(赤茶色)への化学変換がクエンチされます。その結果島筋と言われる梅華皮(かいらぎ)を伴った漆黒の仕上がりになります。一回の焼成で数が取れず、引出しのタイミングが極めて難しいものです。今回の焼成では抹茶茶碗5つ、茶碗2つを引出しました。これだけ引き出しても満足のいく仕上がりになるのが1個あるかないかだそうです。

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3.引出し
 
今回も引出しの写真をUPしました。前回も掲載したのですが、やはり薪窯焼成で最もパフォーマンス性の高い技法の一つなので、何度見ても飽きなかったりします。今日は引出した直後から、作品が冷えてその色を現す過程をご覧下さい。引出しはいわば、「でっかい色見」。それ自身独立した技法であるとともに窯の中の雰囲気を見極める指標にもなります(燠にまぶして還元がかかる分を差っ引いて考えなければいけませんが)。

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引き出した直後 板の上で燃え出す作品

徐々にビードロがその色を現してくる・・・

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完成

4.作品の仕上がり
 薪窯は窯詰の位置により作品の仕上がりが異なります。一般に火袋(燃焼室)部分では灰被り及び自然釉の、焼成室部分では火色の作品が得られるといわれています。しかし、これも絶対的なものではなく、Batchによってかなり変動があります。それがまた、面白いところでもあるのですが・・・。

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5.ホームページ
 今回の窯焚きには里山窯のHPを見て、参加された方が何人かいらっしゃいました。HPが開設されて4ヵ月、今更 I T 云々というつもりはありませんが、本来であれば絶対に知り合うことのない人との出会いはやはりインターネットならではであり、従来の時間的・空間的制約を取り払うものだと感じました。

6.窯出し
 
窯出しが連休中だったために手伝うことができました。還元雰囲気メインで焼いた今回の窯焚き、ビードロの発色が良好でまずまずといったところでしょうか・・・。

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今回の焼成で窯出しした作品

焼成パターン(Excel、20kb)

 

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