〜窯焚きの「か」〜

 

焼き物の語源でもある「窯焚き」。作陶の陰に隠れて見過ごされがちですが、焼き物の製造の最終を担う重要な工程であることはまごうことなき事実です。ここでは窯焚きについて説明します。

1.窯焚きの基本
窯焚き、といっても燃えている火の中に作品を放り込むわけではなく、常温〜1250℃くらいの温度をゆっくり上げていきます。急激に上げると作品が割れたりしますし、あまりだらだら上げると燃料が勿体無い。時間としては熱効率の悪い薪窯は3日以上、それ以外は10〜20時間程度といったところでしょうか。
さらに焼成法には「酸化」と「還元」があって、それぞれ酸素過剰、炭素過剰の雰囲気にして焼成する方法です。それぞれの焼成法は素地や釉薬の色に影響してきます。

2.窯の種類
焼き物の窯は主に電気窯、ガス窯、灯油窯、薪窯の4種に大別されます。どの窯が優れているというのではなく、それぞれが短所及び長所を持っています。要は作り手のニーズに合わせて使い分ければいいだけですからね。。

電気窯:
もっとも手軽で使いやすい窯といえるのがこの電気窯です。温度制御がしやすく、温度が均一に上がります。また、コンピュータを用いた完全自動焼成も可能です。スペースも取らず、煙も出ないのでマンションでも設置可能という利点があります。通常の焼成では還元が出来ないという欠点がありますが、さや鉢による炭化焼成などで代用できます。徐冷もしやすいので、初心者向き且つ、精密な温度制御を要する焼き物に向いています。

ガス窯:
手軽で使いやすく、且つ炎で焼成するので窯変を狙いたい作品も焼くことができます。また、ダンパー調整で還元雰囲気にすることが出来ます。仕掛けとしてはちょっと大掛かりになりますが、電気窯なみの歩留まりの良さ、炎を出せることによる作品の仕上がりの面白さを併せ持つ窯です。

灯油窯:
燃料に灯油を使うことによる、焼成代のコストパフォーマンスの良い窯ですがマニュアル操作の部分が多く扱いに少しコツのいる窯です、したがって歩留まりも電気窯などに比べると落ちます。点火直後の油煙の多さ、窯の温度の不均一性など必ずしもユーザーフレンドリーではありませんが、それがまた良い味を作品に表す可能性もあり、私個人としては一番好きな窯です。

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薪窯:
作務衣(さむえ)を着て窯に薪を投げ込む・・・。世間一般で持たれている陶芸家のイメージに一番マッチした窯です。薪の調達、窯のメンテナンスなど他の窯とは比較にならないほど膨大なコストがかかり、焼成の手間、作品の歩留まりの悪さもこれまた一級品(笑)。しかし薪の灰が作品にかかることによって出来る自然釉やビードロ、緋色やゴマなど他の窯では得られない趣を作品に与えることが出来ます。また、燃えさかる窯に次から次へと薪を投げ込むと、この上ないストレス解消になります(これは私だけ?)。

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