窯焚き記録C

2002.12.20〜22

 

里山窯にて今年最後となる窯焚きをしました。今回は焼き〆メインの40時間焼成です。

1.新兵器登場
今回、里山窯に新たに油圧式の薪割り機が導入されました。持ち運び可能なハンディタイプでありながら、8トンまで切削可能の優れものです。当然鉞(まさかり)で割るよりはるかに正確で速い。薪割りは窯焚きでもっとも大変な作業の一つですので、工数削減に大きく寄与しています。

021221-1.jpg (26069 バイト)
油圧式自動薪割り機

 

2.土砂降り
21日朝から降り始めた雨は昼くらいから本降りになってしまいました。近隣の市では雪になっているところもあって。どうなることかと心配しました。雨の日の焼成は積んである薪にシートをかけたり、焚き口の上をトタンで塞いだりと本当に大変です。また気圧が下がるので温度の上がりが悪くなったりします。作業面で多大な負荷がかかりますが、その反面、こういうときには結構いい作品の仕上がりになったりするんですよね・・・。

021221-2.jpg (15326 バイト) 021221-3.jpg (14878 バイト)

土砂降りの窯焚き。ビニールシートをかぶせて薪を濡れないようにします。

 

3.引き出し
里山窯で人気のある「引き出し」。還元雰囲気による深いビードロが出るのが特徴で、最近特に依頼の多い品です。危険でハードな作業ですが、それに見合う作品が取れたときの喜びはまた格別です。今回は計8本引き出しました。作業の手順は大体以下のようなものです。

・窯の温度が1250℃を超えたら自然釉の熔け具合を目視で確認した後、窯の中の作品を熾きの上に転がす。

・薪を作品を覆うように投入する。

・1時間程度加熱を続けたのち、炎を一旦切って作品をひっくり返す。

・窯に薪を投入して同様の作業を続ける。

・1300℃に到達したことを確認して炎を切らせた後、ステンの棒を使って作品を窯の外に引っ張り出して急冷する。

炎を切ると窯の温度が下がりやすくなります。また、ステンレスといっても1300℃の高温で長時間置くと熔けて作品に付着し、仕上がりが悪くなります。ちょうど火止めの直前に行うため、疲労もピークに達しています。しかも作り手の思いがこもった大切な作品、間違っても落として壊すことがあってはなりません。極限の状況の中で危険な作業を迅速かつ正確に行うことが要求されます。今回の引出し作業は半分以上を私がやらせてもらいました。自分の作品を引き出したことはありますが、他人の作品は初めてです。はっきりいってめちゃくちゃ緊張しました・・・。

hikidashi2.jpg (14988 バイト) hikidashi3.jpg (16698 バイト)

引出し作業、かなり危険です。

021221-4.jpg (24218 バイト)
同じ日に引き出した面取り花瓶。これは私の作品

 

戻る

inserted by FC2 system