窯焚き記録A

2001.3.22〜25

さる3月22〜25日、私自身21世紀最初の窯焚きに里山窯に行ってきました。今回はうつわのみせDENのチャリティー展示会に出す作品を出さなければということで、日程的にきついにも関わらず山川さんに焼成をセッティングして頂きました。

前回のように焼成の状況をリアルタイム形式で紹介してもよいのですが、それだと毎回同じような内容になってしまうので、今回は里山窯での焼成について雑録形式で紹介してみようと思います。

1.薪
 薪の準備は焼成の全工程の半分以上のウェートを占めるくらい手間のかかる作業だそうです(毎回念入りに準備してくれる山川さんにはホントに感謝してます)。里山窯では、薪窯用の赤松も使っていますが、それだけ使うと、お金がかかり過ぎるので主に近所の土建屋から安く譲り受けた廃材を使っています。廃材ゆえに色々な形、材料の木っ端があり、それを窯に投入しやすいように割るのが、また大変な作業です。私の世代だと、もう薪割りの経験なんてほとんどありませんから、重い斧をふらつきながらへっぴり腰で振って薪にはじかれてしまうのがせいぜいです(笑)。
 薪割りにはちょっとしたコツがあって、振り上げるときは柄の斧の頭に近い部分に支点を置いて短く持ち(普通は右手)、振り下ろすときにその手をすっと下に移動させます。そうすると支点が移動してそれほど力を入れなくともテコの原理で薪がすぱっと割れるのです。

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今回使った薪。これだけ割るのは一苦労。。

2.煉らし
 今回の里山窯の焼成では1000℃〜1100℃を6〜7時間キープするという工程がありました。前回も書きましたが、薪での煉らしは結構大変です。昇温中であれば、それなりに作業に変化があるのですが、煉らしは燠をきらさず、温度を上げずに薪をくべつづけるという単調作業の繰り返しです。ちょうど疲れがピークに達する頃なのできつい・・・。今回、この時間帯は私一人だったので、ついつい居眠りしてしまい、気づいたら温度が100℃くらい下がってたり(笑)。

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煉らし中の窯の中(約1000℃)。
正面の作品に亀裂が入ってしまった・・・。

3.宴会
 夜6時を過ぎると、窯の中に作品を入れた人たちが集まってきます。皆、料理やお酒持参で即興の宴会が始まります。里山の窯で焼いている人たちはほとんどが窯主の山川さんの小学校時代の同級生。昔話に花が咲き、宴会というよりは同窓会と言った方がいいかも知れません。薪窯焼成の本当の魅力は作品の出来云々よりも、皆でわいわいやりながら焼成できるところにあるような気がします。

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後ろで宴会をやってる中、黙々と薪を投げ込む私(?) 1300℃付近の窯。燃し口の蓋の鉄板が赤く焼けている。

4.引出し
 薪焼成でもっともインパクトのあるパフォーマンスの一つが「引出し」です。真っ赤に焼けた作品に燠をまぶした後に窯から引き出して急冷するのですが、山川さんがステンの棒で作品を引っ掛けて窯から出す瞬間、まわりが緊張した空気に包まれます。木の板の上で真っ赤に燃え上がる作品は、温度が下がるにつれ、徐々にその色を表してきます。引き出すタイミングで仕上がりは全く変わってくるので、もっとも制御の難しい技法の一つと言えるでしょう。
 今回、私が入れた作品は2つ引き出したのですが、残念ながら2つとも割れてしまいました。

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1300℃の窯から引き出される作品。
熔けた灰が雫となって垂れている。

今回の焼成は窯の引きがいつもより断然良く、常に温度の急上昇を押さえながら昇温しました。主要な燃料の廃材に松が多かったからかも知れません。どちらかというと酸化に偏っていたと思われるので、ビードロの発色なんかはひょっとしたらあまり良くないかも知れません。窯出しは来週の土曜日です。果たして結果は・・・?

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