〜主な治療法〜

 

1.温水性淡水魚

・白点病
 白点虫イクチオフチリウスが体表に取りついて起こる病気です。アクアリストなら必ず一度はぶつかる壁である反面、病原体の研究も進んでいるので正しく対処すれば治る病気です。金魚の尾ひれや背びれに小さな白点が出て、それが全身に広がります。すぐに死ぬことは無いようですが、放置すると魚が衰弱する上に体表についた傷から細菌が入って感染症を起こしかねません。

[治療法]
 メチレンブルー製剤(グリーンFリキッド)などで1週間ほど薬浴します。熱帯魚用のヒーターがあれば30℃くらいに水温を上げると治療の効果がアップします。私は試したことはありませんが、民間療法で鷹の爪をネットに入れて水槽に浮かべておくと良いという話を聞いたことがあります。

・エロモナス感染症
 エロモナス菌によって引き起こされる各種病気(尾腐れ病、穴あき病、ポップアイなど)の総称です。水質が悪化してくるとかかりやすくなるようなので水が濁ってきたら取りかえるようにしましょう。また、小さい水槽では発生する率が高いそうです。

[治療法]
 サルファ剤+ニトロフラゾン系の魚病薬(グリーンFゴールド)やオキソリン酸(パラザンD)が効果があるようです。特に身体に傷ができる穴あき病は魚が弱ることは少ないですが、二次感染が心配ですので、早めの治療が必要だと思います。オキソリン酸はPSBに対して感受性が無いので生物濾過を壊したくないという場合に良いようです(できれば薬浴槽を用意して治療した方が無難です)。

・水カビ病
 水カビが体表に寄生して起こる病気です。ほっておくとどんどん増殖し、身体を覆ってしまいます。えらに近い部分に寄生すると窒息を起こして急死することもあるそうですので気をつけてください。

[治療法]
 マラカイトグリーンやメチレンブルーが効果があります。付着しているカビの量が多いようであれば、2日ほど薬浴させてカビが弱ったところをつまんで除去してやると良いでしょう(魚体を傷つけないように注意してください)。1週間ほどの薬浴で良くなります。

 

2.冷水性淡水魚

冷水魚、特にサケ・マス類や温水性魚でもアユ類は病気にかかりやすく、環境の変化や感染症に対して非常に弱いです。病気の兆候としては以下のようなものがあります。

1.餌を食べなくなるか、口に入れてもすぐに吐き出すようになる(内臓の疾患)。
2.体表にカビや繊維のようなものが付着したり、小さい白点が見える(水カビ病、白点病など)。
3.皮膚ににきびのような腫れ物や出血斑が見られる(ビブリオ病、セッソウ病などの感染症)。
4.水槽の底や壁に身体をこすりつける(白点病、皮膚炎)。

治療法:
 サケ・マス・アユ類の魚病薬としては、以下のようなものがあります

・スルファモノメトキシンナトリウム(ダイメトンソーダ水産用、第一製薬):
 細菌の核酸合成系の必須物質であるパラアミノ安息香酸に拮抗し、サケ・マス類特有のセッソウ病やビブリオ病に効果があるサルファ剤です。

・塩酸オキシテトラサイクリン(水産用OTC、各社):
 蛋白合成阻害作用を持つ四環系抗生物質でグラム陽性、陰性菌に効果があります。ビブリオ病や各種感染症に効果がありますが、耐性菌が多いのが難点です。

どちらも医療用医薬品として局外規または日局に収載されており、熱帯魚屋などで一般の人が気軽に購入という訳にはいかないと思います。スルファモノメトキシンナトリウム及びOTCの水溶液はそれぞれアルカリ性及び強酸性のために薬浴には向かず、経口投与が中心になります。用量の加減も金魚と違ってかなりシビアになりますので使用の際は十分注意して下さい。
素人療法として現実的な治療法は
0.5〜1%食塩水での薬浴です(これは温水性魚類にも非常に有効です)。初期の感染症や白点病などであれば魚病薬治療と比べて時間はかかりますが、たいていの場合完治させることができます。

その他
薬浴について
小型の水槽があればそれを使えばよいですが、私は発泡スチロール製のふたつきクーラーボックス(20L程度、釣具屋で1000〜2000円程度で売っています)を使っています。治療状況が外観で判断しにくいという欠点はありますが、発泡スチロールは断熱性に優れ、魚が壁にぶつかってもクッションになってダメージが少ないというメリットがあります。以下の説明は発泡スチロールを使った場合です。

・金魚・温水性淡水魚の場合
魚病薬を使うときは用法用量を間違わないように。色素が入った魚病薬(メチレンブルーなど)は容器の壁にしみついて取れなくなります。気になる人は非色素系の魚病薬(グリーンFクリアーなど)を使うと良いでしょう。

・冷水性淡水魚の場合
氷で水温を下げてからキャンプ用の蓄冷材(凍らせたもの)をビニール袋に入れて浮かべて蓋をしておくと真夏でも水温15度程度を保てます。蓄冷材は半日くらいで取りかえます。冷水魚は症状が進んでからの増悪が速く、そうなるといくら食塩水で薬浴しても効果はありませんので日頃から注意深く魚を観察し、病気の兆候が見られたら魚が元気なうちに薬浴することが大事です。

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発泡スチロール製の薬浴槽。断熱性が良いので水温が殆ど変化しない。

薬浴中の様子

 

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